老後資金の準備として、銀行や保険の窓口で必ずと言っていいほど勧められる「個人年金保険」。 「元本保証で安心」「年金でお金が増える」「節税になる」といった甘い言葉に誘われて契約してしまう人が後を絶ちません。
しかし、実際の計算してみると、驚くべき真実が見えてきます。
まずは、フコク生命の個人年金保険「みらいプラス」を例に、税制優遇を考慮した実際の利回りを確認していきましょう。 そのうえで、では手堅い投資先として知られる「日本国債」と比べるとどうなのか? 最新(2026年5月現在)の国債データを用いて、どちらに本当の投資価値があるのかを徹底的に比較・検証していきます。
結論から言うと、比べるまでもなく日本国債の優位性は変わりません。 なぜそのような結論に至るのか、具体的な数字を見ながら紐解いていきましょう。
※本記事において年率リターンは、実際の資産推移に近い幾何平均(CAGR)で算出しています。
返戻率の罠!みらいプラスの「本当の利回り」を計算してみた
まずは、フコク生命「みらいプラス」の利回りを見てみましょう。条件は「30歳から積立開始、65歳から10年間で年金を受け取る」という、最も一般的な現役世代のシミュレーションとします。
65歳までずっと積み立てる場合(35年間積立)
- 支払総額:210万円(月額5,000円)
- 受取総額:250.7万円
- 返戻率:119.3%
60歳まで積み立て、5年間据え置き、65歳で受け取る場合(30年間積立・5年据置)
- 支払総額:180万円(月額5,000円)
- 受取総額:222.1万円
- 返戻率:123.3%
「支払った額が120%以上になって返ってくる!」と聞くと、とても魅力的に感じますよね。保険のパンフレットでも、この「返戻率」という言葉がデカデカと強調されています。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。 返戻率は「期間」を無視した数字だからです。
投資の世界で本当に重要になる「年率リターン(内部利益率:IRR)」に換算し直してみましょう。
- 65歳まで積み立てた場合の年率リターン:約0.78%
- 60歳まで積み立て、5年間据え置いた場合の年率リターン:約0.83%
いかがでしょうか。30年〜35年という気の遠くなるような長期間、大切な資金を拘束されるにもかかわらず、年利1%にも満たないというのが現実です。これでは、昨今のインフレ(物価上昇)のリスクに対抗することすらできません。だいぶ物足りなく感じてしまいますね。
魔法の言葉「保険料控除」を加味しても勝てない?
保険営業マンが「素の利回りが低くても、個人年金保険料控除があるから、節税効果を含めればもっとお得ですよ!」と切り返してくるのはお決まりのパターンです。
では、この節税効果をフル活用して、個人年金保険にとって「最も有利な条件」で最大利回りを計算してみましょう。
実は、保険料控除は「掛金を上げるごとに控除率(効率)が悪くなっていく」という性質があります。そのため、今回は最も効率が良くなるみらいプラスの最小掛金である「月額5,000円(年間6万円)」で計算します。
さらに、所得税率は20%とします。これは扶養家族がいなく、大きな控除もない場合、年収640~650万円以上程度のある程度高年収の方々が該当する税率です(扶養家族がいる場合はさらに高い年収が必要です)。
細かい計算は省きますが、この条件下での税金還付額は以下の通りになります。
- 所得税の還付額:7,000円
- 住民税の還付額:2,800円
- 毎年返ってくる金額:合計9,800円
毎年年末調整や確定申告で9,800円が確実にキャッシュバックされるわけです。これを先ほどの積立投資の利回りに上乗せ(再投資と同等に評価)して、税制優遇込みのIRRを再計算してみます。
- 65歳まで積み立てた場合の年率リターン:約1.54%
- 60歳まで積み立て、5年間据え置いた場合の年率リターン:約1.53%
控除の力を借りることで、ようやく1.5%を超えてきました。
「これなら銀行にお金を預けるよりマシだし、手堅い運用先としてアリなのでは?」と思うかもしれません。しかし、現在の日本の金利状況(比較対象)を見ると、その淡い期待は一瞬で吹き飛びます。
圧倒的勝者「日本国債」の利回り(2026年5月現在)
ここで、日本国が発行する「国債」の利回りを見てみましょう。現在(2026年5月)の利回りは、かつての超低金利時代とは異なり、大きく上昇しています。
国債金利(2026年5月22日現在)
- 3年もの:1.6%
- 5年もの:2.0%
- 10年もの:2.7%
- 30年もの:3.9%
個人向け国債金利(2026年5月募集)
- 固定3年:1.57%
- 固定5年:1.89%
- 変動10年:1.67%
ご覧ください。年末調整で必死に書類を書いて、最大の節税の下駄を履かせた個人年金保険がようやく叩き出した「1.5%台」という利回りを、日本国債は何もしていない素の状態で軽々と超えていきます。
超長期国債(30年)に至っては3.9%と、比較にならない圧倒的な差です。
たしかに、日本国債は「5万円からしか買えない」「利子を受け取っても新たな国債に再投資しづらい」というデメリットはあります。しかし、それを補って余りあるほど、利率の差で圧倒しています。
さらに、1万円から気軽に投資できる「個人向け国債」であっても、固定5年で1.89%です。これだけでも個人年金保険を選ぶ理由はなくなってしまいます。
リスクと流動性でも国債が圧倒的に優位な理由
「日本国債は利率が魅力的だけど、途中で売却するときに価格変動リスク(元本割れのリスク)があるでしょ?」という反論が聞こえてきそうです。
しかし、それは「満期まで持ち切れば元本割れはない」ため、老後資金のように使う時期が決まっている資金であればリスクになり得ません。
さらに言えば、元本割れリスクがあるのは個人年金保険も全く同じです。むしろ、国債は金利の状況によっては「値上がり(売却益)」の可能性がある一方、個人年金保険は途中解約した場合、ほとんどのケースでペナルティによって元本割れします。
元本割れリスクを確実に避けたい場合は、いつでも国が元本を保証してくれる「個人向け国債」を選べば、100%元本割れリスクを排除できます。
また、「流動性リスク(お金の引き出しやすさ)」の観点でも大きな差があります。
個人年金保険は、年金受け取りが始まるまで何十年もの間、資金を完全に寝かせて(ロックして)おかなければなりません。人生、いつ急な出費(病気、転職、住宅購入など)が必要になるか分からないのに、これは非常に高いリスクです。
一方で、国債はいつでも市場で売却可能です。個人向け国債についても、購入後1年間は解約できませんが、それ以降はいつ売っても国が元本割れなしで買い取ってくれます。
さらに見落とされがちなのが「発行体リスク」です。
「日本国が破綻するリスク」と「一民間企業(保険会社)が破綻するリスク」を天秤にかけた時、どちらが安全かは言うまでもありません。日本が破綻するレベルの大災害や経済崩壊が起きた時、保険会社が無事でいられるわけがないのです。
最後の悪あがき!45歳スタートで税制面で保険に有利な条件を与えても国債の勝ち
「個人年金保険料控除は一定の控除額なのだから、積立期間を極端に短くすれば、年率リターン(IRR)を極限まで跳ね上げられるはずだ!」
そう考える方もいるでしょう。
そこで、一縷の望みをかけて、みらいプラスで65歳から受け取る場合の最遅の年齢である「45歳スタート(積立期間20年)」という、保険側にとって最も有利な条件とも言えるシミュレーションを行ってみました。
この場合、控除の節税効果が短い期間に凝縮されるため、利回りは以下のようになります。
- 65歳まで積立継続(20年間):年率利回り 1.75% (控除考慮なしでは0.57%)
- 60歳まで積立・5年据置:年率利回り 1.67% (控除考慮なしでは0.65%)
期間を短縮することで、確かに利回りは1.7%前後まで上昇しました。
ここでさらなる下駄をはかせてみましょう。それは「受け取る時の税金」です。
多くの人は老後、現役時代よりも収入が下がるため、現役時代に所得税率が20%だった人でも、老後は課税所得が195万円以下となり、所得税率が最低ラインの5%に下がるケースが一般的かなと思います。これに住民税10%を足すと、老後の税率は「計15%」になります。(個人の収入状況によって異なりますのでご了承ください。)
個人年金保険の利益には、この15%の税金がかかってきます。
一方で、日本国債の利子には、一律で「20%(所得税15%、住民税5%)」の税金が源泉分離課税として差し引かれます。
※実際には復興特別所得税が所得税の2.1%上乗せされますが、今回は計算を簡略化するために省いています
つまり、税率だけで見れば「保険(15%) VS 国債(20%)」となり、ここでも保険側が有利なハンデをもらっている状態になります。
では、この「出口の税金」まで全て加味した【税引き後利回り】を比較してみましょう。
- 個人年金保険(45歳開始・65歳まで積立)の税引き後利回り:1.49%
- 個人向け国債(固定5年・利率1.89%)の税引き後利回り:1.51%
保険側に「加入期間の最適化」「現役時の高い節税効果」「老後の低い税率」というトリプルハンデを与え、国債側には「一律20%課税」という重いペナルティを課したとしても、素の個人向け国債(固定5年)の税引き後利回りにすら勝てないのです。
個人向国債ではない通常の国債に至っては、5年以上の年限であれば比べるまでもなく国債の圧勝のままです。
個人向け国債とその他日本国債(新窓販国債)の購入先について
なお、この記事で比較している「個人向け国債」と「日本国債(新窓販国債など)」は、購入できる窓口が少し異なります。
- 個人向け国債(固定3年・固定5年・変動10年)→ SBI証券・楽天証券・マネックス証券など、大手ネット証券で購入可能 → 1万円から買えるため、初心者でも始めやすい商品です。
- 日本国債(新窓販国債・既発債などの利付国債)→ SBI証券で購入可能 → 5万円単位から購入でき、利回りは市場金利に連動します。
どちらもネット証券で完結するため、銀行窓口に行く必要はありません。 特にSBI証券は、個人向け国債・新窓販国債の両方を取り扱っているため、 「国債をまとめて管理したい」 という人にとって使いやすい選択肢になります。
SBI証券(公式):NISA・確定拠出年金(iDeCo)・株・投資信託・債券・FX | SBI証券
まとめ:個人年金保険を選ぶ理由は見当たらない
ここまでの検証をまとめると、個人年金保険という金融商品は、現代の金利環境においてはデメリットしかないと言わざるを得ません。
- 利回りが低すぎる(どんなに有利な計算・ハンデをつけても日本国債に負ける)
- 流動性リスクが極めて高い(何十年も解約できず、途中で引き出すと大損する)
- 発行体リスクが高い(民間企業にお金を預けるリスクがある)
- 手続きや管理が煩雑(契約するのも、住所変更するのも、解約するのも、すべて保険会社を通す必要があり面倒)
日本においては一番手堅く、誰でも1万円から買える「日本国債」にすら、利回り・安全性・流動性のすべてにおいて負けてしまうのが、今の個人年金保険の現実です。
「老後が不安だから手堅く貯めたい」「元本割れだけは絶対に嫌だ」という人こそ、保険会社のセールストークに惑わされないよう気を付けましょう!
※本記事の試算結果は過去のデータおよび筆者の試算に基づくものであり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資は自己責任でお願いいたします。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資商品を推奨するものではありません。投資の最終判断は、ご自身で最新の目論見書等を確認の上、自己責任で行ってください。
出典
・松井証券「債券・国債利回り」
国債(3年・5年・10年・30年)の利回りデータを参照
・財務省「個人向け国債(募集要項・金利)」
固定3年・固定5年・変動10年の金利データを参照
・フコク生命「みらいプラス」公式シミュレーション
返戻率・受取総額・積立条件などのシミュレーション値を参照
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ポイント還元を狙うなら松井証券です!当ブログで私が押している3つのファンドについて、SBI証券と松井証券のポイント還元率を比較すると、松井証券が圧倒的に高いという結果になりました。
| ファンド名 | SBI証券 | 松井証券 |
|---|---|---|
| auAMレバレッジNASDAQ100(為替ヘッジなし) | 0.05% | 0.1845% |
| iFreeNEXT 日経連続増配株指数(年4回決算型) | 0.05% | 0.10% |
| アムンディ 日本・高配当株(累進高配当) | 0.05% | 0.065% |
なお、今回比較した3つのファンド以外でも、松井証券は多くの投資信託でポイント還元率がSBI証券より高い、または同等であるケースが非常に多いです。
さらに、iDeCoに上記3つのファンドはありませんが、松井証券ならiDeCoでもポイントを貯められちゃいます!
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